だけど、そこに山南先生が水をさした。
「あの……芹沢先生には、報告しなくても……」
その声に、場の空気が凍りつく。
答えたのは、土方だった。
「局長は近藤さんだ。
近藤さんがいいと言えば、いいんだ。
あいつにおうかがい立てることでもねぇ」
あれ?今まで反対してたのに、いきなり賛成派?
どういうこと?
「ここには二人の副長もいる。
もちろん、俺とあんただ。多数決、決定だ」
「し、しかし土方くん……」
「なんだ、まだ文句があるってぇのか?」
「い、いや……」
土方って、副長だったんだ。
それに山南先生も。
土方は鋭い刃物のような眼光で、山南先生を黙らせた。
「楓の存在は、しばらく他の者にはだまっておくように」
それだけ言うと、土方副長は一番に部屋を出て行ってしまった。



