「お前は、そんなに楓を殺してぇのか!?」


「んなわけ……」


「じゃあ、しっかりしやがれ!!

てめえが守らねえで、誰がこいつを守ってやるんだよ!!」


「…………!!」



そうだ。


嘆いてる場合じゃない。


死なせるわけにはいかない。


俺は、楓の体を抱え、立ち上がる!



「大丈夫だ。絶対、助かる。
俺たちは、勝ったんだ」



そんな土方さんの言葉のあと、遠くから、会津の軍勢の太鼓の音が聞こえてきた。


勝った……


俺たちが、討幕派の企みを阻止したんだ。


なあ、お手柄だぞ、お前。


こんな功労者を、死なせるなんて。


絶対、あっちゃならない。



「絶対、助けてやるからな……!」



俺は、やけに軽くなった体に戸惑いながら。


楓を抱きしめ、血まみれの隊服のまま、池田屋をあとにした。



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