「山南さん、すみません。妹は、男がダメなんです」
「えっ?」
「実は幼女の頃、別の奉公先にもやったんですが、そこの主人に手篭めにされそうになりまして。
それから、男嫌いになってしまったんです」
「なんと……」
もちろん、これは沖田の作り話。
しかし山南先生は、あからさまな同情の視線を、あたしに向けた。
「なら、ここは男ばっかじゃねーか。
山崎だって、男だぜ。大丈夫なのかよ」
山南先生の横に座っていた、これまた大きな男が言った。
たしか、『原田くん』と呼ばれていた。
原田先生は、その体中に厚い筋肉を纏っていた。
ボサボサの髪を、高い位置で結っていて、ちょっとだらしなさそうだけど、顔は整っていた。
日に焼けた肌に、白い歯が光る。
「だ、大丈夫です!
男と、あの……色っぽいことは怖くて出来ないけど、普通に働く事はできますっ!」
「ぶっ!なんだそりゃ!」
原田先生の後に座っていた男が吹き出した。



