「は、原田くん、返してくれ」


「はー、こんなちっせえ字、よく読めるよな」


「そ、それは貴重な豆本なんだ」


「山南さんよぉ……学問も結構だが、今は会議に集中してくれねぇか?」


本をとりあう二人に、土方の一声。


山南先生は、「すみませんっ!」と、頭を下げた。


土方の顔、こわー……。


「え、ええと。女子の入隊について、ですね」


「どうだ。無謀だと思わねぇか?」


「そ、そうですねぇ。月のモノとかも、あるだろうし……
私は彼女をどこぞの良い家に、嫁がせてあげた方が良いと思いますよ」


土方の見えない圧力に圧されてか、山南先生は、そんな無難な答をした。


「っと……それは……」


近藤先生が言葉につまる。


その様子を見て、土方も黙ってしまった。


いくら鬼でも、あたしの事情をべらべらしゃべる気はないらしい。


そんなとき助け舟を出したのは、とても意外なことに、あの沖田だった。