「じゃあ、決まりだな。
楓君、彼は監察方の山崎烝(ヤマザキ・ススム)君だ。
わからないことは、何でも聞くといい」
「はいっ、お願いします、山崎先生!!」
「ちょ、ちょっと近藤さん、勝手に決めるなよ。
他の幹部を何だと思ってやがる!」
おっとぉ。
せっかく話がまとまりかけたところで、土方に口を挟まれてしまった。
「そうだったな!すまん、すまん」
「山南(ヤマナミ)さん、どう思う?
女子を入隊させることについて」
土方に話をふられたのは、丸いめがねをかけた、学者のような男だった。
ちゃんとした髷を結っている。
「あっ、えっ」
いきなり話をふられた山南先生は慌てて、その手から何かを落とした。
「ちょっとぉ、山南さん。
会議中にそれはないっしょ」
横に座っていた男が、それを拾いあげる。
それは小さな小さな、豆本だった。



