幕末オオカミ



「ほら……絶対、そういう事言って泣くと思ったんだ。
だから言えなかった。気づかれないように、遠ざけようとしてた。

だから……お前は、何も悪くねぇよ。
これは人狼として生まれた、俺の宿命だろ」


「でも……っ」


「言っただろ。俺はあの時、嬉しかったんだ。

お前が、俺はもののけなんかじゃない、俺は俺だって言ってくれた。

感謝してる。恨むなんてことは絶対に、ない」


「……う、…あぁ……」



総司の声は聞いたことがないくらい、優しくて。


それが逆に、辛かった。


何も言えなくて、涙ばかりが溢れる。



「近藤局長は優しいから、絶対なんとかなるとか言ってただろ?

でも現実は、誰もどうすればいいのかわからない状況なんだ。

だから、覚悟はしておいてほしい」


「や、だよ、バカァ……っ!」


「ごめんな。
でも野生の勘って意外と当たるんだ。

もう狼化しなければ、明日明後日に突然死ぬことはねぇと思う。

けど……」