幕末オオカミ



「あたしの……せいだ。
あたしが、陽炎との戦いで、総司に無理をさせた……」


「違う。許可を出した俺のせいだ」


「あたしが、総司に爪を折らせた……剣を、にぎらせた……

だから総司、何も言ってくれなかったんだ……」


「違う!それ以前から、俺が……っ」


「あたしが……あたしが総司を……っ!!」


「黙れ、楓!!」


「いやあぁぁぁぁぁっ!!!!」




ぶつん、と何かが切れた音がした。


自分が何を叫んでいるか、何をしているか、何もわからない……。


ただ、目の前が真っ暗だった。



「楓!!
違う、違う違う違う違うっ!!

お前のせいじゃねぇ、お前は悪くねぇんだ……!!」



我を失ったあたしを抱きしめたのは、土方副長だった。


彼はあたしが落ち着くまで、ずっと強く抱きしめて、離さないでいてくれた。


そんなことを知ったのは、もっとずっと後の話だった……。