最後の一線を越える前でよかった。 本能が、どこかで察知していたのかもしれない。 楓…………。 俺なんかの思い出を引きずる事は、ないから。 ただ、俺が死んだ時。 泣いてくれたら、それでいいから。 ああ。 ぶっさいくだろうなぁ、泣きはらしたお前の顔は。 けれど、何より愛しくて、 可愛い可愛い、大切なひと……。 お前だけは。 幸せにしてやりたかった。 ごめんな。 ごめん。 楓…………。 許してくれ……。 **