幕末オオカミ



そんなの……どうして聞くの?


決まってるじゃない。


いくら苦しくて、悲しくても。


あたしが今選ぶのは……


軽蔑されてもいい。


あたしは震える手で、総司の着物の袖をにぎりしめた。



「……勝って……」



風にさらわれてしまうほど小さな声は、それでも、彼の耳にはちゃんと届いたみたい。



「わかった」



総司は短く言うと、陽炎の方へ歩き出す。


その代わりに、斉藤先生がすぐにあたしに寄り添った。


土方副長と平助くんも、その場を明け渡す。



「あんたは、どんな妖術を使うの?」



陽炎が総司をにらみながら聞く。



「あいにく、俺はコレしか使えない」



総司は刀の柄をぽんと叩いた。



「嘘だね」


「何故わかる」


「あんたの体から……獣の匂いがする」


「……毎日洗ってるんだが」


「ふざけちゃいけないぜ、お侍さんよ」