幕末オオカミ



「お前が選べ、忍」



土方副長が前へ出た。



「このまま戦うか、潔く腹を切るか。
あるいは」


「……あるいは……?」


「……別の死体を持って、大奥へ持って帰るか」


「!?」



陽炎は腹を押さえたまま、紫色の目を見開いた。



「できないわけじゃあるめぇ。

星見がどうの、という話も聞いたが、占いなんてハズれるもんだ。

適当な遺体を持って、『山でのたれ死んでました』。

それで一件落着だろう」


「は……っ、お前、星見の力も知らないくせに……」


「どうせ生きてるってことしかわからないババァじゃねえか。
なんとかごまかせ。お前も生きたいなら」



土方副長は、じっと陽炎の目を見つめた。


その視線に嘘はない。


鬼副長ともあろう者が、敵に情けをかけようとしている。


それは、きっとあたしのため。


本心では陽炎に死んでほしくない思っていたことを、いつの間にか見抜いていたんだろう。


……この男には、本当にかなわない。