幕末オオカミ



「……そっちがそうくるなら、俺もいいもの見せてあげる」



陽炎の周りの空気が、一変する。


ぞく、と鳥肌が立った。


あれは、村の中でも純血の者しか操れない術。


気づくと同時に陽炎は、両手を開き……


その上に、紫色の炎を出現させる!



「炎の幻術か……」



斉藤先生の声が、緊張をはらむ。



「なんだ、幻かよ」



平助くんが馬鹿にしたような目をする。


陽炎はそれを笑いながら、両手を彼らの方へ向けた。


あたしは咄嗟に声を張り上げる。



「避けて!!」



言うより早く、陽炎の両手から炎の塊が放たれる!!


あたしの声が聞こえたのか、三人はそれぞれに向かって飛んでくる炎の弾丸を走って避けた。



「どういうことだ」


「あれはものすごく強い幻術なの。

当たったら本当に熱い、痛いと相手に思わせる力がある。

その衝撃で、弱い者は死んでしまうし、細胞は黒く焼け焦げてしまう」


「…チッ……!!」



手を出す事を禁じられた総司は、奥歯をぎりぎりと噛んだ。