幕末オオカミ



そういえば、芹沢の周りを調査していた時、新見が言ってたっけ。


近藤派の幹部はほとんど、妖術が使えると……。


このことだったんだ。



「もしかして、平助くんも、他の人達も……?」


「ああ。江戸の試衛館に斉藤が初めてやってきたとき、皆が面白がって、陰陽道の手ほどきを受けた」


「だからって、あんなのできるもんなの!?」


「全員、何らかの免許や目録持ってるくらいだからな。
なにかを極めるってことが好きなんだ」



いやいや、おかしいって。


やろうと思って極められるものじゃない。


自分も総司を狼から戻すための修行をしたからわかるけど。


ある程度の霊力と才能がないと、あんなことできないよ。


やっぱり新撰組は変な人ばっかり!!



「うらぁっ!!」



そんなことを思っている間に、土方副長の気合が夜空を震わせた。


彼は剣を正眼に構え……


陽炎の方向に、振り下ろす!!



「ええっ!!」



普通なら素振りにしか見えないそれは、風をまとい、刃と化す。


そしてその風の刃は、飛び道具のように陽炎に向かっていった。



「ちっ!!」



陽炎は飛んできたそれを避けて飛ぶ。


攻撃は瓦を砕き、その欠片を地上に降らせた。


逃げる陽炎の足元を狙って、副長は何回も刀を振った。



「風に剣気を混ぜて、撃ってるんだ」


総司が説明するが、もうついていけなくなりそう……。