幕末オオカミ



低い声は、あたしの反論を押さえ込む。


総司は一旦刀を鞘におさめた。


その間にも、他の三人は陽炎に攻撃されていた。


火矢が投げられ、煙が視界を遮る中を、手裏剣が飛び交う。


いつもは強いはずの三人は、その攻撃を避けるのに精一杯に見えた。



「苦戦してるじゃん!!
皆、剣どうしの戦いばかりで、忍の術に慣れてないんでしょ!?」


「いいから、俺の後にいろ!!」


「あたしはそんなに役立たずか!?」


「わかんねぇのか、バカ!!
土方さんは、今は刺客だろうと、お前に昔の仲間を傷つけさせるようなことはしたくねぇんだよ!!」



総司の怒鳴り声が、あたしの脳天を直撃した。


まさか……。


あの鬼副長が、そんなことを……?



「信じて見てろ。
あの人達は、絶対に負けない」



総司の声で、あたしは戦いの場に視線を戻す。


片手に、総司の熱い指を感じながら。