幕末オオカミ



土方副長は、すらりと自分の刀を抜いた。


白刃が、月の光りを反射する。



「げー、さすが土方さん。それを確認したかっただけかよ」


「それはそうだろう」



平助くんと斉藤先生も、刀の柄に手をかけた。



「お前ら……っ」



陽炎の声が怒りに震える。



「俺達を犬呼ばわりした罪は重いぜ?

幕府に歯向かう気は毛頭ねぇが、この小娘は渡さない。

お前を……斬る」


「は、やれるもんならやってみな。

ただの忍と思ってなめたら、死ぬのはそっちだ!!」



陽炎の手から、煙幕が放られるのが見えた。



「副長……っ!!」



ボン、と音を立てたそれが、煙を吐き出す。


それを合図に、三人が刀を抜いた。