幕末オオカミ



あたしと総司は顔を見合わせた。


土方副長が何を考えているかわからなかったからだ。


どうしよう。


あたしの血の秘密は、まだ誰にも話してない。


それを知ったら、副長はどんな決断をくだすんだろう。


どくどくと、心臓が不規則に鳴り始めた。



「楓は……ある秘術を持ってる。
それを上様がご所望だ」


「その秘術とは?」



土方副長はすかさず質問をかぶせる。


陽炎は少し困った顔で、屋根の上から降りてきた。



「だーかーらー、それを漏らすと俺の命も危ないんだって。

お前ら、幕府の犬だろ?

犬なら犬らしく、ご主人様の言う事を素直に聞けばいいんだよ」


「なっ、無礼にもほどがあるだろ!」


「落ち着け、挑発だ」



犬と言われて、平助くんは素直に怒りを表す。


それを斉藤先生が冷静に止めた。