幕末オオカミ



さて、集まったはいいがどうしたものか。


陽炎が来るまで雑談というわけにもいかない。


重たい沈黙が流れる。


その沈黙を破ったのは、少し苛立ったような声だった。



「あれぇ?すごい大勢なんだけど」


「……!!」



全員が、声のした寺の屋根の方向を見上げる。


そこにはいつの間にいたのか、群青色の忍装束をつけた陽炎が立っていた。


その銀髪と紫色の瞳のおかげで、全員がすぐに陽炎を本人だと認識できた。



「降りて来い。話をつけよう」



土方副長が呼びかける。



「話って、アンタとする話はないよ」



陽炎は冷たく斬り捨てる。


そして、あたしをにらんだ。


紫色の瞳で。