島原は、女が体を売る場所。
近藤局長はあたしに同情してるから、また売り飛ばすような真似はしないだろう。
かといって、素性もぱっとしない、石女のあたしが嫁ぐ先もない……
だから、奉公先を探してくれるというわけか……。
「近藤先生って……
本当に、お人よしなんだ……」
しかもこの無愛想な男に信頼されるなんて、すごい人だなぁ……。
「土方さんも、それをわかってて俺に任せたんだ。
わかったら、気持ちを改めろ」
「……いや」
「は?」
「やだ。ここで、働く」
見上げると、沖田は眉をひそめてこちらを見返した。
うわ、怖い顔。鬼みたい。
でもあたしは怯まない。
「あたし、近藤先生の下で働きたいの」
「…………」
「普通の女として生きるなんて、できない。
だって、普通じゃないんだもん……」
新撰組が、具体的にどんな場所か、あたしはまだ、何も知らない。
けれど。
情けをかけてくれた人を、がっかりさせたくない。
認めてほしい。
居場所が、欲しい。