「そうだな、それでも楓がここにいたという事実は消えない」
永倉先生が言った。
「むしろ、ここから出したらますます、楓が危険に陥る。
俺たちがいなかったら、追手に狙われ放題じゃん」
平助くんが、それはダメ、と首を振った。
どうやら平助くんは、あたしに同情的みたい。
「局長、もうしょうがないんじゃないすか?
楓は俺たちの仲間でしょう。
上様には悪いけど、しらばっくれましょうや」
そう言ったのは原田先生。
「みんな……」
じん、と胸が熱くなってしまった。
あたしなんか、ほとんど役に立ってないのに。
先生たちは、他の同志と同等に、あたしを心配してくれてる……
「しらばっくれるって……まあ、そうするしかないですよね……」
山南先生が諦めたようにため息をつく。
「しかし……刺客が仲間に報告していたらどうする?」
斉藤先生はまだ難しい顔。
そりゃあ、そうですよね……



