屯所に帰ったあたしを、斉藤先生は局長室まで連行した。



「いったい、どういうことです」



いつもは穏やかな斉藤先生の声が、冷たくなっていた。


局長と副長はいきさつを聞いて、眉をしかめる。



「同志に隠し事とは、あんまりじゃないですか。
洗いざらい、喋ってもらいましょうか」



斉藤先生が怒っているのは、間違いなく陽炎の揺さぶりが効いたからだ。


あたしを差し出さなければ、新撰組が巻き添えを食う……


上様の一声で、幹部は全員切腹だ。



「……小娘、総司と……他の幹部も呼んで来い」


「は、はい……」


「逃げんじゃねぇぞ」



土方副長はそう言うと、あたしを一旦部屋から出した。


あたしは急いで、屯所にいた幹部全員を呼んで回った。