幕末オオカミ



──どさり。



芹沢はゆっくりと、畳に崩れ落ちた。



抜き打ちの勝負は一瞬だった。


速さの分だけ、俺が相手に勝ったんだ。




「沖田……」



腹を真横に切られても、芹沢にはまだ息があった。



「……あの娘を……」


「なに?」


「あ、あの娘、お主のことを、そ、それは切ない目で、見ておった、ぞ……」



何を言ってるかわからず、膝をつき、顔を近づける。


いや、聞き取れはしたが、意味がわからなかった。



「後悔せんようにな……」



芹沢の口から漏れる息が細くなるのと同時に、耳やしっぽ、顔の模様が消えていく。


俺はそれを見て、何故かほっとした。


最後は、人間として逝けるのか……。



「総司、もう苦しませることはない」



土方さんが、小声で言った。


俺は、うなずいて。



芹沢の背中を、一突き……



突いた。