「ってか、あんたが甘味好きとは意外だね」


「別にいいだろ……」



翌日の昼、八木邸近くの壬生寺にて……。


例の如く顔を腫らせた沖田と、女装姿のあたしは、仲良く並んで手ごろな石に腰掛けていた。


沖田は昨夜のお詫びに、今度はおまんじゅうを持ってきてくれた。


どうやら、なじみの店があるらしい。



「ふわぁ、おいひい~」


「ってなあ、そんなのん気にしてる場合じゃねぇぞ」



そうだ。


今朝すぐに新見切腹の報を受けて、芹沢は真っ青な顔をしていた。


事態は、すぐに動き出すだろう。



「しかし土方副長、あいつはマジ鬼だね」


「あぁ……早く止めてくれれば、殴られずにすんだものを」


「いやいや、そうじゃなくて……
新見の『詮議』をするとか言って……」



あたしはそこで口をつぐんだ。


新見は『自分で』切腹したことになっている。


表向きは。


芹沢の名を騙って莫大な借金をした責任をとった、とそういうことだ。


土方副長に追いつめられた、なんて、誰かに聞かれてはいけない。