「はぁ?」



土方副長が、鬼のような顔であたしをにらむ。



「てぇとなんだ?

芹沢は新見にそそのかされて、どうにかしてもののけの力を自分で身につけたってことか。

そこまでしたにも関わらず、お梅のために隊を抜けたいと思ってる……

そういうことか?」


「はい」



副長室には、近藤局長、土方副長、そして沖田がいた。



「なるほど……

どこの派閥も、副長の方が悪知恵が働くということか。

おそらく新見はお梅をも操って、芹沢を意のままに操ろうとしているんだろうな」


「総司……てめぇ、今さらっと失礼なこと言わなかったか?」



沖田の言葉に、土方副長が目じりをぴくぴくさせた。



「すると……処断すべきは……」


「新見くんということになるな」



近藤先生が、断言する。


しかし土方副長はそれではおさまらない。



「いやいや、さっき永倉から報告を受けただろう。

芹沢は、押し借りを続けて、莫大な借金がある。

何のお咎めもなしに、除隊させられるかよ」


「それは、そうですが……」


「小娘は黙ってろ」