幕末オオカミ



「あっ!!」


タヌキのしっぽが……出てるっ!!


それだけではなく、芹沢の目の周りに、タヌキのような黒い模様が浮かんだ。



「やはり、もののけか!!」


浪士が叫ぶ。


半分タヌキに変身した芹沢の周りに、異様な空気が立ち込めた。


獣のにおいに似ている……これは、妖気。



「何をしておる!早く逃げぬかっ!!」



芹沢はあたしに怒鳴った。


その背中に、浪士が斬りかかる!!



「芹沢先生っ!!」



その声は、あたしのものではなかった。


もっと低く、獣のうなり声に似ていた。