幕末オオカミ



……そうなの?


うん、たしかに仕事の時は別人のように人当たりが良い。


年上には敬語だし。


だけど、騙されてるよー、芹沢っちー。


あいつ、【壬生の狼】を地でいってんだよ?


あたしには、すげー冷たいし……ってか、女だから緊張して一線ひいてる感じ。



「いえ、遠慮しておきます……
お侍様は、このご時世、いつ死んでしまうかわからないもの」


「ほう」


「悲しいでしょう?恋人が死んでしまったら……」



今の京の街は、毎日どこかで死体が発見される。


血で血を洗うような死闘が、繰り返されているんだ。



「そうか……」


「だから……お梅さんも、毎日不安なんじゃないでしょうか」



って、なんで慰めてるんだよ、あたしは!!


妖術でむりやり連れてきたからじゃん?


って、言ってやりたいのに……。