幕末オオカミ



「お梅はな……あまりそうやって、笑ってくれんのじゃ」


「…………」


「のう、お主は、恋人が侍になると言ったらどうする?」


「ぶっ!?」



思わぬ質問に、くずきりが鼻から出そうになる。


黒蜜の匂いが、鼻腔に充満した。



「さぁ……私には想像もできません。
恋人がいたためしもありませんから」


「なんじゃ、十七にもなって寂しいやつじゃのう。
うちの組にもおるぞ、若い衆が。
沖田に、斉藤に、藤堂……いずれもなかなかの美丈夫じゃ」


「ぶほぉぉっ!!」


「なんじゃ、汚いのう」



いやいや、吹かせたのアナタですから。


あの人たちが、恋人ですって?


そんなの、想像もつかない。



「なんなら、紹介してやろうか?

特に沖田は背も高いし、剣も強い。

普段は無愛想じゃが、子供には優しいし、年上への礼儀はわきまえておる」