幕末オオカミ



局長室を出たあたし・沖田・斉藤先生の三人は、一緒に蔵に向かった。


今は、他の隊士は朝稽古の時間。


今日の指導役は、原田先生と永倉先生らしい。



「じゃあ、沖田。この人を借りるぞ」



蔵に戻る途中、斉藤先生がゆっくり言った。



「は?借りるって?」


「狼化したお前に、普通の攻撃は効かない。

他の幹部と同じように、少しだけ術を覚えてもらう」


「あぁ……なるほどな」



と、二人はあたしを無視して会話する。



「ちょっとちょっと!
ってことは、他の幹部もコイツを押さえられるわけ?」


「そうだ」


「じゃあなんで、あたしなの?
近藤局長、よっぽどあたしに目をかけてくれてるのかな!」



あたしがウキウキした口調で言うと、沖田はチッと舌打ちをした。



「あー、うるせぇうるせぇ。

他の幹部は忙しいから、お前に任せたに決まってんだろ。

やっぱりお前みたいな女子、発見した時に斬るべきだった」


「な!酷くない!?
あたしが何したって言うのよー」



つかみかかろうとしたが、沖田はひらりひらりとあたしの攻撃を避けた。


その様子を見て、斉藤先生が苦笑する。