斉藤?だれそれ?


あ、そう言えば。



「もしかして、もう一人の幹部の……!」



井上先生とともに、隊士に稽古をつけていて、まだ会っていなかった『斉藤』先生!?


うっかり声を出したあたしを、沖田がゆっくり振り返る。


その頭には耳が、尻には尻尾がまだ生えていた。


金色の瞳が、あたしを見つめなおす。




「ぐるる……」


「えっ……」


「危ない、よけろっ!!」



斉藤先生の助言も虚しく、完全に狼から戻っていなかったらしい沖田は、あたしに向かって、跳んだ。



鋭い牙と爪を、むき出しにしたまま──。