幕末オオカミ



沖田は浪士にまたがったまま、こちらをにらみ、ノドを鳴らす。


口の端から見えた牙が、新たな獲物であるあたしを狙って、光った。


やばい……逃げなきゃ。


そう思うのに、足が動かない。


沖田の長い足が、こちらに向かって跳ぼうとした……


その時だった。



「沖田っっ!!」



突然投げかけられた若い男の声に、視線が奪われる。


見ると、沖田の背後に、見覚えのある羽織を着た人物が立っていた。


浅葱色の、だんだら模様の羽織り……


新撰組だ!!



「目を覚ませ、沖田!!」



彼はそういうと、いきなり刀を抜き……


沖田に、斬りかかる!!