「僕が興味あるのは血と走りだけだしィー…」





少し苛つきギュッと握ったナイフの刃からポタポタと血が伝う。



やっぱ赤は良いよねェー。



赤い血に笑みを濃くする。



血は、僕を落ち着かせる。








でも白夜が総長になってから季神全体の大暴走はしてないなァ…。スリル不足だよね。うん。



ポッカリと空いた胸を血の興奮で埋める。
ポタッポタッと地面に落ちる血。



―――――だけど血だけじゃ僕の心は埋まらない。









基本季神は暴走しない。ちー君も白夜も夏彦も暴走なんて興味ないし仕方ないかァ〜…
あ〜あ詰まんないなァ



鬼神は狂人が集結した族。なのに今の季神はただの変人の集まり。まぁ、あの雰囲気は嫌いじゃないけどねェ。





「あーあ…」





珍しく滴る血に意識が奪われない。思考は季神・鬼神・響子ちゃんの三点をぐるぐると回る。



僕は謎の少女・響子ちゃんについて考えてると、ふとあることに気がつく。












白夜が1つ場所を食い入るように見つめている事に。



ただその一点に釘付けだ。



いつしか黙ったままの白夜を見ると、探るようにその場所を見つめていた。





「木陰になんかあるのォ?」





白夜が真剣な眼差しで何かを見つめているのが不思議で視線の先を辿るけど――――ただの木陰。



暫くして真剣な目が何を考えているのか分からない目へと変わる。
歪んだ口元が白夜の癖のある性格を表す。