牙龍−元姫−




いづれ人生のなかで経験する事の相手が戒吏だっただけ。



後悔する事は何一つない。
次に新しい恋を始めるときは私なりのペースで進められたらいいな――‥



と思った。

















窓ガラスから目を逸らす。目を伏せ現在(イマ)を見つめ直していると―――…










“ピィーーーーーー!!!!”





「わっ…」





外から聞こえてきたホイッスル。



突然届いた笛の音に声をあげる。



伏せていた目をもう一度窓ガラスに向けた。
今度はガラスに映る自分ではなく音が聞こえてきた外を見る。





「いきなり吃驚したね。…蒼?」





蒼に同意を求めるように聞くが、首を傾げた。
同時に次は違う意味で吃驚した。



蒼が私を見ていたから……



ジッと、静かに。



いつから見てたの?と聞きたくなるくらいに私だけを見つめている。