牙龍−元姫−




何枚も上手で、余裕綽々とする蒼に恥ずかしさが渦巻く。



あの頃は戒吏と以外とこんな事するなんて考えにもなかった…と



世話が焼ける戒吏を思い浮かべると同時に



あの頃の情景が蘇る。


















――――――蘇る記憶は鮮明で、昔の自分を懐かしく思う。



いつも私は、戒吏の目や周りの目を身振り素振り気にしていた。



全てを戒吏のペースに合わせて、自分の意見を何一つ口に出さなかった、あの頃。



戒吏がいながらも他のヒトに言い寄られてときめいてしまう愚かな自分に嫌気を差していた、あの頃。


同時に幻滅されないかと脅えていた日々。



ふと戒吏を思い浮かべれば当時の後ろめたさ、知恵・経験共に浅はかだった自分への負い目が蘇る。