牙龍−元姫−





そして…





「あ……っ」





蒼の顔が肩から、耳辺りへと移り動く。
さらさらの青藍色の髪が頬に擦れる。
耳に舌が這う感触に、甘い声を零してしまう。



耳から目尻、頬、首、鎖骨、全てが一直線上かのように舌を伝わせる。



どうしてもその舌の感触に甘い吐息をついてしまう。
わたしの反応に気分を良くしたのか蒼は笑う。



指先を桜色の唇に当てた。





「名前、呼べ」

「……っ」





どうして、遼も蒼もこんなに名前を呼ばせたがるのか分からない。



悩む私に再度強めに言う。
更に指先を唇に強く押し当て無理やり抉じ開けられる。





「名前」

「…ぁ、お」

「聞こえねえ」

「…っ蒼」





恥ずかしい、恥ずかしすぎる。
指に触れられた唇に熱が籠る。



間近で蒼の目が私を捕らえていて息が詰まる。