ふと庵さんを見ると、笑っていた。
「今頃、余裕ないんじゃないかな?遼のヤツ」
「……」
ああ。この人はこういう人だった。
愉快そうに笑う庵さんに謀の上手い人だと心底思った。確かに総長と居ると疲れるけど庵さんも大概だ…。
庵さんと居ると神経をすり減らされる。幹部の方は尊敬しているけど……本当に、疲れる。
一々、空気が重くなる変化に俺は堪えられない。俺が幹部になれる日は遠いだろうな…。
「あ、そうそう」
何かを思い付いたように俺を見てくる庵さんに…
“やっぱり此処にいるんじゃなかった!”
と思わされる。
庵さんの言葉によって。
「あと15分後ぐらいに――――、――――」
それを耳に入れ、俺は此処に居た事を心底後悔する羽目になってしまう。
目をひん剥き、庵さんの言葉を聞いて泣きたくなった。
何すか、そのシナリオは…!確実に生存率は50%にも満たないだろ。しかも完璧に不徳だし不利益。
行かなくても結局は響子さんが心配な事が分かったけど、明らかにそれは俺の役目ではない。
何で俺がこんな羽目に…
タイムリミットは、15分
今日は厄日。
神無際=厄の塊。
“神無際なんて滅びてしまえ!”
(平良君の心の叫び)