「馬鹿だね、遼」

「あ?」





若干声が低くなった遼さんに俺は肩を竦めた。
何かを理解したのか失笑する庵さんに遼太さんの機嫌は急降下。





「否定しないって事は響子と居たんだよね?」





『いままで、響子と居たの?』



庵さんと廊下を歩いていると遼太さんが前から歩いてくるのを見つけ、そう言った。





『うるせえよ』

『否定しないの?』





普通に会話するのかと思いきや何故か刺々しい会話だ。そうして数回このやり取りの繰り返しだった。


次々に廊下に刺さる言葉の矢。偶々通り掛かった生徒は恐れをなして来た道を引き返して行った。



俺も今すぐに此所から去りたかった。これじゃあ総長の傍で響子さんの話を聞いてる方が100倍マシだと思った。