因みに委員長はミミズを5秒で移して暫定一位。
だけどパートナーの私も移さないと点数は加担されないと言う皮肉な現実。





「…無理だよ」

「ほら!風見さんも見守ってくれてるよ?」

「里桜?」





委員長の指を辿れば先程まで行方を眩ましていた里桜を見つけた。



腕を組みながら此方を眺めている。目が合えば里桜は手をヒラヒラ振ってくれた。
それに何処と無く安心した。





「ね?野々宮さんには風見さんが付いてるよ!」

「…うん」





委員長の説得力のある言葉に頷きガラスに目をやる。



透明のガラス越しには独特の疣(イボ)が気持ち悪い緑の蛙。



目を逸らしたい衝動に駈られながらもソッとガラスの中に手を伸ばす。





「…うっ」





しかし…
やはり今度も宙で手が止まってしまう。
止まった指先が微かに震えている。


耐えろ、耐えろ。



たった数秒…



ただ数秒掴むだけ。















そう葛藤している合間に事は起きた。





「え」





やっぱり無理だ。
そう引っ込めようとしたとき…



蛙が、飛んだ。





「…あ、ああ…」





言葉を途切れ途切れで発する。



唇が震え脚が震え瞼が震える。



目の前がチカチカと光りクラクラ目眩がする――――――蛙が私の胸元まで飛び、引っ付いたから。