「そうか」
「え……っんん」
呟いた戒吏にグイッと右手で頭を強く引かれ、腰に左手が回る。
まるで戒吏の唇が私の唇を食べるかのようにキスされる。厭らしいような深いキスではない、でも長いキスだった。
唇が離れると、ペロッと自分の唇を舌で舐めた戒吏。
「反論はさせねえよ」
「…戒吏、」
その唇を艶っぽく舐める舌と不意討ちのキスに私は赤らめた。
「本気で嫌がれ」
「え?」
「本気で嫌がらねえと次は止めねえからな」
さらっと“次”と言った戒吏。多分意識せずに言ったんだろう。
しかし私はそれが胸に引っ掛かった。
“次”があるんだ、と。
終わりを迎えたはずの恋が鮮やかに甦り私を満たしてゆき、征服される。
――――でもそれが不思議と、嫌じゃなかった。