牙龍−元姫−




「き、響子先輩を呼び出してもらうための取り引きッすからオイラはちゃんと真っ当するッス!」





意気込むニット帽に、ついこの間のことを考える。



“Noel”に響子先輩を呼び出したのは何も善意ではない。



話を持ちかけられ、1度は断ったものの、ふとある事を思い出して取り引きする事にした。自分でやるとなるとリスクも労力も費やす羽目になるからニット帽と“恩”を利用しようと考え、



“彼奴のことを見張っててほしい”そうニット帽に告げた。



理由なんてものは、言ってない。ただニット帽はやるべきことをことをすればいいだけ。





「まぁ頼りないけど頼りにしてるよ」

「どっちッスか!オイラ、これでも××君とは仲が良いんで自然に傍にいれるでヤンス!」

「知ってる」





知ってるから頼んだんだよ。じゃなきゃアンタにこんな取り引きしたりしない。





「最近は顔見てないッスけど…」

「アンタ、怪我するなよ」

「え?」





どこか抜けてるニット帽に、唐突に言う。



意味がわからないと不思議がるが、嬉しそうに声を弾ませた。





「よ、よく分からないッスけど千秋君がオイラの心配してくれたでヤンス!嬉しいッス!オイラ怪我に気をつけるでヤンス!」





これが忠告と謂うのに、コイツは気がつかない。確かに俺は助かるけど“彼奴”の傍に居るのは気楽なコイツには危険だ。



片桐と言い、彼奴と言い、





「ホント、東は変なヤツを飼ってるよね」





そのせいで火の粉が降り掛かってるコッチの身にもなれ。