「婆ちゃんもアタシのこと嫌いだって思ってたよ。昔から貶しまくってたから。でもそのエッセイに書かれてあったんだよね」





【どんな姿形であれ、大事な孫娘だよ】





「まさかアタシが密かに読むなんて思ってなかったと思うよ。じゃなきゃ書かないと思うし…」





一旦口を閉ざすと目を私に向ける。


次の言葉に私は顔を赤らめてしまった。





「響子ちゃんは、セックスって何なんだと思う?」

「…っえ!?」





驚いて吃ってしまう。そういう話に私は慣れてはいない。羞恥から顔に火が迸る。



せ、せっくす、



大まかに言えば男女の夜の営み。子孫を残すための行為…とかじゃないの?





「【恥ずかしがる事はなにもない。それは愛の証だから】ってエッセイに綴られてたんだ」

「愛の、証」





素敵な響き――……いまは“その行為”を愛と呼ぶ人はどれだけいるだろうか。



“その行為”をお金に変える風俗や、お金に変える援助交際が蔓延るなか、



愛の証のために行為をする人は、きっと少数派。