「白鷺先生だってバレたら支障でるの?」





私はバレれば学校生活とかも大変だから秘密にしているのかと思った。それも白鷺千代が高校生だったなんて知れたらマスコミやメディアの餌食ともなる。



そう聞いた私に困ったように笑う――――――聞いたら駄目だったかな?と戸惑った。



しかし寿々ちゃんは教えてくれた。




「響子ちゃんはさ、白鷺千代をいつから知ってる?」





私が白鷺先生を知ったとき――‥



それは確か白鷺が世界に知れ渡ったとき。たまたま母の書斎にあった本が白鷺先生の小説だった。





「文学賞受賞したときかな―――――4年半前?」





思い出しながら言う。



そして寿々ちゃんは頷いた。



もう白線は通り過ぎいるため、ポンポンと跳び跳ねてない。



例え白線がそこに合ったとしても跳ねないはず……いつになく真剣な瞳をしているから。





「響子ちゃんのいう通り白鷺千代は4年半前に文学賞を受賞した。その時に漸く名が知れ渡った―――――20年間小説を書き続けてやっと認められたときだった」





あたかも何かの台本を読んでるみたいに熟々話す。なんの変動のない声。



あれ…?ちょっと待って?





「寿々ちゃんは白鷺千代先生なんだよね?」





それに頷く寿々ちゃんに私の疑問は更に膨らみをみせる。





「20年前って…寿々ちゃんまだ生まれてないよね?」





そう。白鷺千代は謎。若いという者もいれば年老いているという者もいる。だから寿々ちゃんだと知ったときはかなり驚いた。



しかし寿々ちゃんは言った。20年間執筆を続けていたと。



寿々ちゃんは生まれている筈がない。だけど白鷺千代は寿々ちゃんで、寿々ちゃんは白鷺千代、



訳が分からない私に寿々ちゃんは衝撃的な言葉を告げた。





「私は4年半前から白鷺千代だから」





2代目・白鷺千代なんだ。