「いまは千秋が色々やってるだろ。邪魔立てすると白夜と千秋に怒られるぞ」

『…あ〜探りだっけェ?』

「まぁ既に茶々を入れたがな」

『…うっ。だからって軟禁しなくていーじゃん!夏彦だけラーメンとか狡い!僕もB級グルメ巡りに行きたい!』

「携帯があるだけマシだと思え。お前が悪い」





電話越しに何かを蹴りつけている音が聞こえる。そして春陽は愚痴を零す。あの不気味な男を思い浮かべて。





『白夜ってつくづく性格悪いよねェ。高みの見物ってやつゥ?』

「千秋は、牙龍に近づくのが尤も容易いからな」

『うわァー。ちーくん可哀想ォー。勝手に神楽坂に行った罰だっけ?ちーくん嫌がってたもん』

「千秋だけじゃないだろ。僕でも嫌さ。
お前みたいに自ら飛び込む気もない。巻き込まれるのは御免だ。それに…厄介すぎる」

『……』





無言は肯定。春陽も夏彦と同じ意見だった。確かに面倒な事が起きようとしている。いや。起きている。既に芽は植えてあった。



黙りとする2人。通話状態なのに無言が続く。