彼の言いかけた言葉に察しがついたのか、やや不機嫌になる夏彦。
それに気付いた春陽は、咄嗟に話を変える。
「……」
『な、なら!知り合いなんでしょ?夏彦が協力してよォ!』
「…嫌だ」
『な、なんで?』
「彼女をお前の身勝手さに巻き込みたくはない――――何故なら!彼女は俺を見てデブだと一言も言わなかったからだ!」
『……』
感激したように言う夏彦に何も言えなくなった片割れ。心の中では絶対デブだと思ってるよ、と言いかけそうになったのを必死に呑み込む。
「だいたい“あんなの”に荷担するなんてお前の神経を疑う」
“あんなの”とは“人”を指す。―――春陽が響子に接触した発端でもある。
しかし春陽にしてみたら、響子は二の次でしかなかった。