私はその光景を黙って見つめる。
隣には心底疲れたような表情で項垂れる姉の姿が。小声で何かを呟いている。
「里桜、お前…」
裏切られたような表情をするお姉ちゃん。
いつもより薄いバイト専用メイクと、死んだ魚のような瞳だからか、マナ姉ではないみたい。
「…亜美菜」
「なに?お姉ちゃん」
「…バイト変えようかな、」
「……」
あまりに疲れた果てたお姉ちゃんに何も言えなくなった。
…それもそうだよね、あのトリオに週4も通われるなんて幾らお姉ちゃんでも参る。
「…はあ」
溜め息をつくお姉ちゃんには心底同情した。
そして盛り上がる6人に目をやれば、猫耳の響子さんに目がいく。盛り上がりは最高潮でよく見れば周りの客も参加していた。
「…可愛いな〜」
私の呟きは騒ぎたつ声に掻き消され、誰にも聞かれることはなかった。
満面の笑みを振り撒く響子さんを見て私も自然と笑顔になる。
隣では、もぬけの殻なお姉ちゃん。
最高潮に盛り上がるメイド喫茶【らぶりん】
この盛り上がりは閉店するまでの間続いた。

