***





「ねーねー。見て見てー。


“にゃんにゃん!”」

「ぶはぁッ!」

「き、汚ない!いきなり吐き出すなよなバカ!」

「だ、だってあまりに可愛すぎるから…!」

「はい。次は早苗がこの耳を付けて“にゃんにゃん”になってね?」

「は?私!?」

「うわーい。すげぇみたーい」

「棒読みだぞコラ!この白鷺風情が!生意気!」





何なんだろうこの光景は…



個性派揃いな3人のやり取り。



ジュースを飲みながら、目を凝らす。





「はい、あーん」

「ちょっ、じ、自分で食べれるから!いい加減やめろ響子!」

「やだぁ早苗。冷たーい。つれないよ…」

「響子ちゃん!アタシにも“あーん”ってやって欲しい!猫田なんか放っておこう!?」

「シね白鷺」





響子さんが、甘い。



先ほどから“早苗さん”には甘えん坊。それに雰囲気まで柔らかい。気を許したように顔を綻ばせている。



私の前では“お姉様”だったのにはいま“ミナ”みたいだ…





「響子にとって早苗は唯一無二の存在だからよ」

「―――え?」

「顔に書いてあるわよ。気になるんでしょ?」





店についたときには、もう既にいた風見さんが言う。



しかし風見さんは1人でテーブルに居るわけではなく“ある3人”と相席していた。





「響子って結構周りより達観で大人びてるのよ。あの子が年相応に笑う相手は、限られてるんじゃない?」





早苗さんもその1人と言いたげの風見さん。



……風見さんもそのうちの1人なんだろうな。



少し、羨ましいと思った。