「亜美菜ちゃん?早く行こうよ?」
知らない間に足が止まっていたのか、響子さんが手招きする。
「す、すみません!」
「ううん。急に立ち止まったから吃驚したけど…。どうかしたの?」
「い、いえ。響子さんと店に行けるなんて嬉しくて、」
「私も嬉しいよ?」
苦し紛れの言いわけ。
微笑む響子さんに内心複雑だった。
姉は100歩譲って善しとしても、問題は店だ。
どんな反応するんだろ?と頭の片隅で考える。
響子さんは“ああいう店”には無縁な人だと思うから…。
悪い展開にはならなかったらいいな、と願う。
―――――このとき。
楽しそうに笑う響子さんを横目に、この後の展開に楽しみな半面、不安で胸がいっぱいだった。