私の前で違う一面を出してくれたことが嬉しかった。





「響子さん…でいいですか?」





彼女の新たな一面を知れたことの嬉しさで自然と顔が綻ぶ。





「“さん”付けか〜…。まぁ、今はそれでもいいよ」





しぶしぶながらに納得してくれた彼女に安心した。流石にこれ以上は無理だと思ったから。



そして彼女はふと思い出したように言う。





「―――あ。亜美菜ちゃん。里桜は先に行ってるの?」

「はい。風見さんならお店の場所を知っているので」





―――私達が向っているのは姉が働くお店。



風見さんが偶に通っていると知り響子さんも行きたいと私に申し出た。



私はそれを快く承諾して、いまに至る。





「そっか。里桜は亜美菜ちゃんのお姉さんと知り合いなんだよね。楽しみ〜」





“お店”が楽しみなのか“姉”が楽しみなのか。多分どっちもだと思う。



だって響子さんはあの“お店”を知らないから。知ったらきっと――――‥