不思議がる俺達を余所に、
加賀谷さんはに扉に向かって呼びかけた。
それに応じたのは気怠い声。
「入ってこい!」
「あーい」
この声って…
ガラッ
開いた扉。
のそのそ歩く“何か”
声色からして聞き覚えのある声だったから“もしかしたら”と思ったが“それ”に釘付けで他のことを考えられない。
静まり返る教室に足音だけが響く――――‥
ぺたり、
ぺたり、
え?
徐々に冴えはじめてきた頭。
目を凝らして“何か”を見る。
頭が冴え始めてきた頃には我に返ったクラスメイトが―――――――――壊れた。
『ギャアアアアアアアア!!!』
「きゃああ!誰かああ!」
「に、にげろー!」
「★◎♯@%■$!?!」
「担架、担架!泡吹いて倒れたぞッ!?」
C組に響く本日2度目の叫び声。
1度目のような歓喜ではない寧ろその逆。2度目は1度目とは比にならないくらいの声量。
あ、あ、あれ何だよ。夢か?夢だよな?夢なら覚めてくれ。悪夢だ。
「寿々!?お、お前なにやってんだよ!」
「ヤッホー、空たん」
「待て待て待て。来るな近寄るな喋るな。俺の半径10メートル以内に近づくんじゃねえ」
「酷!」
酷いのはお前だ!気絶してるやつ続出だぞ。泣いてる奴も居るし。
ほら泡吹いてる倒れてる奴も―――――‥って眼鏡お前かよ!!
泡吹いて倒れてる奴はまさかの眼鏡だった。ひ弱過ぎだろ。周りで介護している奴は凄い良い奴らだな。
俺はその光景を白けた瞳で見つめる。

