牙龍−元姫−




まずA組に勝つとかだ。



だってあっちには寿さんがいる。それに七瀬さんも。藍原さんも。



でも野々宮さんが“体”に出てくれるなら勝機はあるかもなぁ。



なんて卑怯なことを考えてみる。



野々宮さんの運動神経の悪さは体育教師のお墨付き。これは結構有名な話だ。



それにC組のやる気のなさは目に余るほどだ。



だらけきった奴等が集まったC組。


今年のクラス編成は絶対間違っていると思う。



意欲半減の俺達に気づいたのか、加賀谷さんは力強く言い張る。





「俺は…A組だけには…蒼だけには負けられねえんだよ!」

「…うっぜ。たかが神無際で」

「馬鹿かテメーは!蒼のクラスが勝ったら俺達全員蒼の奴隷になるんだぞ!?」

「…な、なんだよ。それ」

「でもこっちが勝てば補習免除だ!」

「てめえの私利私欲かよ!ふざけんなよ蒼衣の生け贄とか!死にに行けっつってんのと同じだろ!あり得ねえよ、お前!お前らの賭けに俺らを巻き込むなよ!」





正しく、その通り!



大野さんがほぼ代弁してくれた。クラスの奴等と同じように俺も頷く。よく見れば加賀谷さんの味方をすると思っていた牙龍の奴等も頷いている。



どれだけ藍原さん恐れられてんだよ…。まじ奴隷とか止めてくれ。藍原さんからしたら奴隷=暇潰しなんだから!







…でもちょっと待てよ?










「……あの〜、遼太さん。なら次の期末テストで赤点とっても大丈夫ってことッスか?」





牙龍に入ってるスキンヘッドが言う。



俺も同じことを思った。



そして加賀谷さんは愉快に笑った。












「ああ。夏休みはハチャメチャ☆パラダイスだ」








しーん








『オオオオオオオオオ!!』






数秒静まり返った後に、やる気のないC組からは考えられない雄叫びが響き渡った。