「人生何事も経験じゃ」

「―――けいけん?」





コテンと首を傾けた響子ちゃん。柔らかな栗色の髪が肩にサラッと掛かる。キョトンと目を丸くする彼女は孫のようで可愛らしい。



…釘付けじゃのう。熱い熱い視線が響子ちゃんに向いとるわ。彼女に見惚れとる。当の本人は気づいてないようじゃがのう。ほほほ!青春じゃ青春じゃ。





「正しいことも好ましくないことも歩いてみなければ、結局はそれが道理や理に叶っているかなんて解りはしないんじゃよ」





意外にも耳を澄まし聞いている若き不良達。





「何度言い訳をしようが過ちは過ち。戻せはしないうっかり犯した過失じゃ。――――でも過ちも、またひとつの経験」





そして目尻を下げ、微笑をひとつ。




「間違ったら、正せばいい」





何も一気に完璧に直さなくてもいい。



“戻そう"としなくていい。



崩れたものを何日何ヵ月何年かかっても、ひとつひとつ新しいものへと築き上げればいい。





「…それだけじゃ」





ほほほ。瞳が変わりおったわい。迷いが無くなったかのう?





「ただの老いぼれの戯れ言じゃ。気になさんな」





いまの言葉をどう捉えようがお前さん等の自由だからのう。



…ふむ。やはりコヤツ等はいい瞳を持っとる。