「携帯あるよ?」
「電話って声だけじゃん。それにタイミング合わないと長電話できないよ。いまから響子ちゃん不足で死にそうー」
「メールならいつでも出来るよ」
「ならリアルタイムで俺様の行動を実況メールするよ」
「Twitterにしろ」
里桜が青筋をたてながらチョコレートケーキにフォークを突き刺した。
確かに数分おきにメールを送られても返信が追い付かない。
「そんな事してみなさいよ。響子の携帯弄って着信拒否してやるわ」
「まじ鬼畜!俺様と響子ちゃんの唯一の架け橋壊すとか有り得ないって!」
「…さようなら、アスパラガス」
「そんな悲しみを込めて言ってもアスパラガスは誤魔化せないからね」
グイグイと私の携帯を取り合う2人。
その横ではすごく美味しそうにショートケーキを頬張る輝君。
ここだけの話、彼とは甘党同士でお薦めの洋菓子店について語り合ったりしている。
「あー、最悪。響子ちゃんと同じ学校なら最高だったのに」
「アンタ男子高じゃん」
「だからだよ。花ないしー」
――‥とため息をついて輝君が食べているショートケーキのイチゴをヒョイッと摘まみ口に入れた。
「てめっ、何すんだよ!」
「は?何が?」
「惚けんな!苺だよ、苺!なに勝手に食ってんだよ!」
「輝が角に寄せてたから食べて上げただけだよ」
「置いてたんだよ!残してたわけじゃねえ!」
「苺ぐらいイーじゃん別に。減るもんじゃないし」
「減っただろ!?
確かに減った。俺の苺が減った。そして最後に苺を食べる楽しみも奪われた…」
大袈裟にフォークがガシャンと手から落として、目を悲しみの色に染める。
ケーキが好きな仲間としては輝君の気持ちは良くわかる。最後に苺をとっておく気持ちも。
「はいはいはいはい!苺くらいでしつこい!俺様のショートケーキ上げるから!」
まだ手を付けていないショートケーキを押し付ける。満足気に頷く輝君に緑川君は再び吐息をつく。

