突き刺さる視線に耐えながらも、足早に校門に向かう。
こんな事になるなら休めば良かったと心底思った。
「……まじ疲れたんだけど。死ね死ね死ね。まじで殺してやろうかしら。私達は揉みくちゃにされたのにこんな騒ぎ起こした張本人は休みとかふざけてんの!?」
「り、里桜少し落ち着いて」
「だいたい何!?響子には気安く話しかけられないからって普通、無関係の私に集る!?だから裏拳噛まされるのよ!全く良い気味だわ」
確かに思い返してみれば私に話しかける人は居なかった。皆遠巻きに見てくるだけ。でもその視線はあまりにも痛かった。
四方八方から見られて動物園の檻に入れられた獣のような気分。
揉みくちゃにされてキレた里桜に裏拳を噛まされて鼻血を出した人を見たときは絶句した。
「……ごめんね里桜」
「……アンタだから許す。何でもない女ならとっくに縁切ってるわよ。私はスキで響子と居るんだからそんな顔しないでよ」
しょぼんと萎れると里桜にぺしっとおでこを叩かれる。
里桜が好きすぎてキュン死にしそう。男前すぎるよ。我ながら本当に良くできたお友達だと思う。
「響子は私が守るのよ!冤罪だとわかったからって気安くされたら困るわ!今日は学校に来てないみたいだけど、のこのこ遣ってきたアイツ等を私は縛り上げて屋上から吊るし上げるんだから!」
「………」
「泣き喚こうが足掻こうが私は許さないわ!ふふふふふ。楽しみね。復讐しても誰も文句言えない筈よ。屈辱を味あわせてやる…!」
何だか徐々に里桜が里桜じゃ無くなってきた。フォローしたいのは山々けど里桜の形相を見てソッとしておくことに決めた。